
施術は、手を使った対話だと思っています。
それは肌に触れるというより、
その奥にある “声にならないもの” を聴くような感覚。
今日は、私が日々大切にしている「感覚で聴く」という視点について、少しだけ綴ってみます。
触れるという行為は、
観察と傾聴の連続に近い。
耳ではなく、
身体の深部で起きている反応を、手で受け取っていく。
表面に現れているものは、ごく一部。
筋肉の緊張、皮膚の質感、呼吸の微細な変化。
その奥にある情報を、
言葉ではなく感覚で読み取っていくことが、私にとっての施術の入り口です。
身体は、常に何かを伝えようとしています。
ただそれは、言葉のようにはっきりとはしていません。
少しの沈黙、少しの呼吸のズレ、
無意識のうちに生まれる防御や緊張。
そういったサインを静かに受け取りながら、
“施術”は“触れる”から“対話”へと変わっていきます。
ふれた瞬間に、変化が起こることもあれば
何も起きないように見えるときもある。
でもそれは、変化がないのではなく
“準備が整っていないだけ”のこともある。
必要なタイミングがくれば、
組織はゆるみ、呼吸は変わり、
ときには感情が動くこともあります。
こちらから起こすのではなく、
相手の内側が自然に動き出すのを“待つ”。
その姿勢を、私はとても大事にしています。
感覚で“聴く”ということ。
それは、相手の中にある力が
自分自身に気づき、目覚めていく過程を見守ることでもあります。
私はただ、そのプロセスの案内人であり、
力づけすぎず、邪魔をせず、
静かにそばにいる存在でありたいと思っています。
手の感覚は、ただの技術ではありません。
その人の深部に寄り添い、
答えを引き出すのではなく“思い出してもらう”ような、そんな時間。
肌より深く、感覚で聴く。
それが、私のソマティックタッチの在り方です。
